タレスは、今から2500年くらい前にギリシャで生きていた、すごく頭のいい学者で、今では「哲学の祖(ちち)」とも呼ばれています。哲学っていうのは、「世の中のいろんなことについて深く考える学問」のことです。
タレスは「ミレトス」という街(今のトルコにある場所)に住んでいて、この街でタレスのような考え方をする人たちが「ミレトス学派」と呼ばれていました。
タレスの名言や考え方(哲学者としての影響)
タレスは、星を見るのが大好きで、空や自然について色々なことを考えていました。
そのため、天文学(てんもんがく:星や宇宙のことを勉強する学問)や、幾何学(きかがく:形や図形を調べる学問)など、当時まだあまり知られていなかったことを研究していました。
たとえば、タレスは一年が「365日ある」ということや、「季節(きせつ)が4つある」ということを見つけました。昔の人たちは、今のように正確なカレンダーがなかったので、365日を数えて季節を知るという考えはとても珍しく、タレスが考えたことはみんなにとってびっくりするような発見でした。
さらに、太陽が月に隠れてしまう「日食(にっしょく)」も予測していたようです。
・天文学と幾何学の先駆者
タレスの星と宇宙への関心(伝説と逸話)
でも、タレスは星や宇宙のことばかり考えるあまり、周りが見えなくなってしまうこともありました。あるとき、星をじっと見て考えごとをしていると、足元にあった溝(みぞ)にはまってしまったのです。
そこを通りかかったおばあさんがそれを見て、「あんたは天のことは分かっても、足元のことは分かってないのね」とからかいました。
・足元無視して空を見上げ
タレスとオリーブ油 大儲けエピソード
また、タレスがあまりお金持ちじゃないのを見た人が「勉強しても役に立たないんじゃないか?」と悪口を言ったことがありました。
タレスはそれを聞いて「よし、じゃあやってみせるぞ!」と心の中で思い、知識を使ってお金をもうけることに挑戦しました。
タレスは星や天気を観察することで「今年はオリーブの実がたくさん育つ年だ!」と予測し、それに合わせて搾油機(オリーブオイルを作るための機械)を先に安い値段で借りてしまったのです。そして、オリーブが豊作になると、オイルを作りたい人が搾油機を使いたがり、タレスはその機械を高い値段で貸し出して大もうけをしました。これには、悪口を言っていた人もびっくりして、黙ってしまったでしょう。
タレスはこう言いたかったのかもしれません。「知識があれば、お金をもうけることもできる。でも、僕たちが本当に夢中になるべきは、お金もうけじゃなくて、この世界についての深い考えなんだよ」と。
・星を使って賢く商売
タレスの教えから学ぶ人生のヒント
そんなすごい学者だったタレスも、年をとって弱っていきました。彼は78歳のとき、体育の試合を見ている途中に亡くなったと言われています。
タレスは自分の周りのことをただ見たり考えたりするだけじゃなくて、「どうしてそうなるのか?」を自分なりに理解しようとしました。この考え方は今も哲学や科学の始まりとして、たくさんの人に影響を与え続けています。
・哲学と科学を広めた人物